ヴィリニュス旧市街の中心地から少し離れた東側に、黄色い外壁が印象的な教会があります。
聖ペテロ&パウロ教会は、ヴィリニュス旧市街の中で最も芸術性の高い教会ではないでしょうか。
ひゅっと伸びる二つの塔がとても素敵です。
でも教会のドアを開けると、そこには外観とは全く違った白亜の世界が広がります。
光が差し込むドームの天井と壁は一面真っ白。ただもう白、白、白。
そこにとんでもない数の彫刻がびっしりと刻み込まれています。
圧倒的な漆喰芸術に思わず目を奪われ、その場から動けなくなりました。
これを絶句と言うんですね。
まるでこの場所だけ世界が止まってるみたい。完全に外と隔離されているような気分です。
光の筋が神々しくて。聖域に足を踏み入れたんだなという感覚。これはすごい。。。
これまでの道中にもたくさんの美しい教会を見てきたけれど、
ここへ来て、その記憶が白い絵の具で塗り替えられました。
聖ペテロ&パウロ教会の別名は「凍れるバロック」。
確かにこの空間の全てが音楽を奏でているみたい。
空間芸術=音楽ということですね。
教会と音楽は切っても切れない関係だし、教会やお寺にはぴったりの表現。
白だからこそ立体化された影がより濃く強調されていて、
白という色の静けさで包まれているのに彫刻はとても躍動的。
色をつけるよりも雄弁なのかもしれません。
でももしかすると、氷のように真っ白に凍ってしまったこの空間に
たった一滴ポトンと絵の具を落としたら、そこから一瞬にして色がうわーっと広がっていくような気もします。
椅子に座って天井を眺めながらそんなことを考えました。
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